購入するならマンション?戸建て?資産価値や費用などを徹底調査
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多くの方にとって人生で一番大きな買い物になるであろう『夢のマイホーム』。
マイホームを購入するにあたって、初めに検討するポイントは「マンションにするか?戸建てにするか?」という選択ではないでしょうか。
マンション・戸建てそれぞれに、ならではのメリット・デメリットや生活スタイルの違いがあります。
この記事では、マイホームを購入する際に考慮すべき点や、マンション・戸建てそれぞれのメリット・デメリットについてお伝えします。
新居生活を始めてから後悔しない様、しっかりと比較検討しておきましょう。
1. マンションか戸建てを選ぶ際のメリットデメリットを調査
ここではマイホームにマンションと戸建て、それぞれを選ぶ際のメリット・デメリットについて、セキュリティ・隣人関係・家事・防災・デザインや間取りの5つの観点からご説明していきます。
1-1. セキュリティ面について
まずはセキュリティ面についてお伝えします。
警察庁のデータによると侵入犯罪の認知件数は平成14年以降減少傾向にあったものの、令和4年度には増加に転じており、住宅侵入窃盗の認知件数は1万5692件にものぼります。
窃盗のみならず、侵入強盗の発生件数も同じく令和4年度に増加に転じており、マイホームにセキュリティ性を求めるのは必然的です。
※ 参考:警察庁 住まいる防犯110番
同データによると、住宅への侵入窃盗被害の件数は、マンションと比べ戸建ての方が圧倒的に多い数値が出ています。
これは、マンションに比べて戸建ての方が、玄関・裏口・窓などの侵入経路が多く、塀や植栽などの外構部で身を隠しやすいこと等によるものです。
また、近年ではマンションにはエントランスのオートロックや防犯カメラが標準設備化し、中にはSECOMやALSOKなどのセキュリティシステムや管理人常駐といった、高セキュリティマンションが増えてきた点も要因でしょう。
セキュリティ面においてはデータや設備面から見て、戸建てに比べてマンションにアドバンテージがある、と言えます。
ただし戸建てにおいても、個人の防犯対策を行うことでセキュリティー面のデメリットを補うことは可能です。具体的な対策をいくつかご紹介します。
① 防犯カメラ・センサー
防犯カメラで録画することで侵入犯罪を防止し、万が一の場合の証拠としても活用することが出来ます。
人が近付くことで照明が点灯する防犯センサーライトも非常に有効です。
また、ダミーの防犯カメラでも一定の防犯効果が得られますので、コストを抑えたい場合に設置をおすすめします。
② ホームセキュリティ
ホームセキュリティは、侵入者を検知して警報を鳴らしたり、警備会社から対処員が駆けつけてくれるサービスです。
コストはかかるものの、警備員を雇うようなものですから、非常に有効な防犯対策であると言えます。
また、オプションで緊急通報システムやガス漏れ感知システム等もあり、ご年配の方やお子様が単独で在宅する場合も安心なのが嬉しいポイントです。
③ 侵入経路の防犯強化
窓ガラスを網入りガラスや強化ガラスに変更したり、玄関のピッキング対策をすることで侵入経路を塞ぐことになるため、高い防犯効果が得られます。
シャッター雨戸や金属格子を付けることも非常に有効です。
ピッキング対策としてはシリンダーキーやディンプルキーなどの防犯性の高い鍵を使うほか、安価な対策としてはサムターンカバーの設置などもおすすめです。
1-2. 隣人関係について
続いて、隣人やご近所さんとの人間関係についてお伝えします。
ほとんどの場合は、今後一生そこで過ごすつもりでマンション・戸建てを購入するでしょうから、近隣の方たちと良好な人間関係を築くことが出来るか、近所付き合いが億劫になるのではないか、と気になる方もいらっしゃることでしょう。
うまく近所付き合いが出来れば、多くのメリットを得られます。
一方で近所付き合いのデメリットに困らされている方々がいるのも事実です。
メリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
近所付き合いのメリットとしては、以下の様なものが挙げられます。
- 顔を見知っていることや、声かけの習慣から防犯効果が得られる
- 小さい子供や高齢者の見守り効果が得られる
- 地域の情報や不審者情報、生活に役立つ情報などの共有が出来る
- 災害時などの緊急時に助け合うことが出来る
- 普段から見知っておくことで近隣トラブルを抑制出来るなど。
一方でデメリットとしては、
- 頂きもののお返しなど気遣いが必要
- ご近所さん同士のトラブルに巻き込まれる
- 長話やイベント事に時間が取られる
- 人付き合いが苦手な場合、付き合い自体がストレスになる
- プライベートが保ちにくいなどが挙げられます。
それでは、メリット・デメリットを踏まえた上で、実際にマンションや戸建てでは、どの様な近所付き合いが必要になるのか見ていきましょう。
マンションの場合、棟内に数十~数百世帯もの住人が生活しており、近隣世帯数が非常に多いため、大きな集合体の一部として、各個人の存在が希薄化される傾向があります。
ですので、主な近所付き合いはすれ違う時の挨拶程度で、密な人間関係は比較的少なくなることが一般的です。
顔や名前を覚えてお付き合いするのは左右両隣くらい、という方が多いでしょう。
強制的に参加しなければならないコミュニティとして、管理組合がありますが、日常的な業務はなく、理事会での議案に賛否を示すだけという、比較的緩やかな繋がりであることがほとんどです。
一方で近年では生活の質の向上や、非常時の住民間の協力体制の形成などのためにマンション内コミュニティを作る動きも出てきており、今後近所付き合いが多少密になっていくことも考えられます。
戸建ての場合、基本的に一棟1世帯で周辺に住む世帯数が少なく、顔や名前を覚えて密にお付き合いすることが多い傾向があります。
主なコミュニティは、自治会や地域のイベントです。こういったコミュニティへの参加や、ごみ捨てや買い物などの日常の顔合わせがきっかけを重ねることで、世間話をしたり子供同士を遊ばせたり、と徐々に砕けた付き合いになっていきます。
特に住民の少ない地方ではコミュニティの繋がりが強くなり、近隣の方とお互いに自由に自宅に出入りする風習が残っている地域もあるほどです。
一方で、特に住民の多い都市部においては、マンションと比べて住居の個別性が高くなることから、マンション以上にコミュニティの柵が少ない地域もあります。
実際の近隣住民との付き合い方は、その住居の地域性や住民の年齢層、家族構成、生活スタイル、ひいては各戸住民の性格などによって大きく左右します。
しかし一般的に見ると、マンションよりも戸建ての方が近隣住民と密に交流する機会が多くなる、と言えるでしょう。
続いて、近所付き合いにおいてどの様なトラブルが想定されるか、いくつか挙げてご紹介します。
① 騒音問題
騒いでいる声がうるさい、子供がうるさい、ドタバタしてうるさい、などご近所トラブルで頻繁に耳にするのは騒音問題です。
マンション・戸建て共にトラブルになり得ますが、特にマンションの場合、壁一枚を隔てて上下左右には、すぐ他の世帯が住んでいるため注意が必要です。
② ゴミ問題
ゴミの問題もトラブルを起こしやすい要因の1つです。
ゴミを分別しなかったり、ゴミ出し曜日や時間を守らない人がいることで、ゴミが収集されず、ゴミ置き場が不衛生になってしまいます。
また、自宅にゴミをため込む、いわゆるゴミ屋敷もトラブルの元です。
③ ペット問題
ペット可マンションや戸建てでは、ペットの問題もトラブルの原因です。
糞尿の処理や鳴き声、匂いなどが主な原因として挙げられます。
場合によっては、被毛が原因で近隣の方のアレルギーを引き起こすケースもありますので、注意が必要です。
④ モラルの欠如やルール違反
モラルがない、ルールを守らない、といったトラブルも多く発生します。
具体的には、例えば戸建ての場合ですと、
- 敷地を超えて植栽が伸びている
- 軒先に路上駐車していて向かい側が車庫に入れられない
マンションの場合ですと、
- 管理規約を破ってベランダで喫煙している
- 共用廊下に物を置いている
などが挙げられます。
1-3. 家事面について
次に、毎日の生活の中で切り離すことの出来ない家事について、いくつかの観点からマンション・戸建てのそれぞれの事情を見ていきましょう。
① 収納面
ワンフロアの限られた空間に居室を配置されたマンションと比べ、複数フロアを床に利用できる戸建ての場合、住居内の床面積が圧倒的に大きくなる傾向があります。
また、広さ自体に加えて収納率(床面積に占める収納面積の比率)も、一般的に戸建ての方が大きいと言われています。
このことから、収納スペースの広さにおいては戸建ての方が優位であると言えます。
ただし、マンションでも収納の充実を売りにしている物件もありますので、しっかり見比べて選択するようにしましょう。
② 家事動線
上下階に居室や生活スペースを割り振る戸建てと比べて、ワンフロアに効率的に建てつけられたマンションの方が、家事の動線はシンプルでコンパクトになる傾向があります。
家事になるべく時間を取られたく無い場合は、できるだけ家事で時短のできるマンションの方がおすすめです。
一方で戸建て、特に注文住宅の場合、予め間取りの決められているマンションとは異なり、理想の生活導線をイメージして間取りを調整することも可能ですので、寧ろ効率的な場合もあることも頭に入れておきましょう。
③ 家事のしやすさや、家事自体の負担
家事をしなければならない場所は室内だけではありません。
マンションには共用廊下や階段、ロビーなどがありますが、こういった共用部の清掃や管理は管理会社がしてくれます。
戸建ての場合、外構部や自宅前の道路の清掃など、マンションに比べて手間が多くなる傾向があります。
一方で、四方に開口部を作れる戸建ての方がマンションよりも風通しや日当たりが優秀です。
室内の掃除や洗濯は、戸建ての方が快適かもしれません。
観点を分けてお伝えしましたが、家事面においてはマンションと戸建ては一長一短であると言えるでしょう。
簡単にそれぞれのメリット・デメリットをまとめます。ご自身がどういった点を重視するか、を大切に選択するようにして下さい。
マンション | 戸建て | |
---|---|---|
メリット | ・家事動線がコンパクト ・家事自体の手間が少ない | ・収納スペースが大きい ・動線をイメージして設計できる |
デメリット | ・収納スペースが小さい
| ・家事動線が大きく、家事の手間が多い |
1-4. 防災面について
続いて、災害リスクに対する防災性の面で見ていきましょう。
2011年の東日本大震災や2016年熊本地震、今年(2024年)の能登半島地震などによる、地震災害による甚大な被害は記憶に新しいことでしょう。
また、近年は豪雨災害も日本各地で目立っており、年々マイホームの防災性への関心が高まっています。
木造住宅が多く、主に2,3階建てと小規模な建物の多い戸建てに比べ、RC(鉄筋コンクリート)造で大規模な建物の多いマンションの方が地震などの災害に強い、というイメージをお持ちの方も多いかと思います。
結論から言うと、自然災害に対するリスクは、マンションか戸建てかということよりも、個々の物件の耐震等級や基準、地域の特性、その土地の特性などの方が大きく影響します。
では、実際の災害時の被害状況や現状のリスク状況はどうなっているでしょうか。
大規模震災や豪雨災害で実際に倒壊,半壊した住宅の大半は戸建てです。
また、マンションの場合、大きな揺れや液状化の被害を受けて主要な構造体部分に被害を受けるケースは多くありません。
こういった実情から、実際の災害リスクは戸建ての方が大きく見えるかもしれませんが、地域の特性の影響や、旧耐震基準やそれ以前の建物が戸建てに多いことといった要因の影響です。
実際に国土交通省の調べによると、震度7を2度も観測した平成28年の熊本地震において、2000年以降の新耐震基準の木造住宅の実に64.1%もの建物が無被害であることが分かります。
※ 参考:国土交通省住宅局 「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
また、ホームインスペクション(住宅診断)を得意とする株式会社さくら事務所の調査によると、マンションと戸建ての災害リスクを比較したとき、土砂災害リスクにおいては両者に差は無く、更に水害リスク・揺れやすさ・液状化リスク・津波リスクの面で、マンションの方がリスクが高いというデータが出ています。
避難動線が長くなりがちな点も含めて、「構造的にマンションの方が安心」という安易な考えは危険なのかもしれません。
※ 参考:桜事務所ホームインスペクション 災害リスクカルテ大分析
ただし、震災や水害と同様に検討しなければならない火災リスクについては、戸建て住宅、特に木造密集地で圧倒的に高い点には注意が必要です。
1-5. デザインや間取りについて
さて続いては、デザインや間取りについて、マンション・戸建てそれぞれ見ていきましょう。
まずはデザイン面はどうでしょうか。
マンションの場合、既に外観や室内の間取りが決まった物件を購入することになりますので、デザインについての自由度はありません。
また入居後についても、区分所有のため外観は個人の希望で変えられるようなものではありませんし、室内もリフォームの自由度が高いとは言えないでしょう。
ただし、相当数の居室をデザインするデザイナーやビルダーによって作られるマンションは、外観の良さはもちろん、室内もコンパクトながらも洗練されたデザインであることがほとんどです。
戸建ての場合、建物そのものを所有する形になりますので、外観・内観共に個人の希望をふんだんに盛り込むことが可能です。
入居後、嗜好の変化や子供の成長に合わせてデザインを変更したい場合においても、ご自身の所有であることから費用さえかけてしまえば容易です。
デザインに拘りのある場合、自由度の高さは圧倒的に戸建てにあります。
加えて、庭や塀など建物以外の部分のデザインに拘ることができるのも、戸建ての魅力でしょう。
続いて、間取りについてお伝えします。
「家事面について」でも触れた通り、マンションと戸建てを広さで比べた場合、圧倒的に戸建ての方が大きい傾向があります。
2022年度のフラット35利用者調査によると、利用者の購入した物件の住宅面積の全国平均はマンションが65.7㎡、戸建てが101.9㎡とのことです。
これだけの居住空間の広さの差がありますので、部屋数や部屋の広さでは戸建てに分があります。
また、戸建ての方が入居後のリフォームの敷居が低いことから、子供の成長や独立など、生活スタイルの変化に合わせて間取りを調整できるといった自由度の高さの面でも戸建て優位と言えるでしょう。
※ 参考: 住宅金融支援機構 2022年度フラット35利用者調査
ただしマンションは戸建てと比べて、階段や廊下などといった居室以外のスペースも少ないため、見た目の専有面積の差程の居室スペースの差は無いと言うことには留意して下さい。
また、各部屋がコンパクトに配置されているため生活導線がコンパクトになる点や、家族間のコミュニケーションが取りやすい点はマンションの利点でもあります。
デザインや間取りの面では戸建ての方が自由度が高く使えるスペースも大きい、と言えるでしょう。
とはいえ、マンション・戸建てそれぞれに特徴・利点があります。
優先すべきポイントを抑えた上で検討するようにしましょう。
2. マンションと戸建て、どっちを選ぶ?考慮すべき点をポイント別に解説
さてここからは、マンションと戸建ての選択をする際に考慮すべき点について、「住みやすさ」「購入費用」「資産価値」「税金」の四つのポイント毎に解説します。
2-1. 住みやすさで比較
まず結論からお伝えしますが、マンションと戸建てのどちらが住みやすいのかという点は、その人の生活スタイルや好みによって変わってきます。
これまで、選ぶ際のメリットデメリットの中でも触れてきましたが、専有面積においては戸建ての方が圧倒的に広い傾向があります。
また、建物内に限らず庭などのスペースを確保しやすい点もメリットです。
このことから、家族の人数が多いなど広さを求める場合は戸建てを選ぶ理由になります。
一方で、マンションは狭くなる半面生活動線がコンパクトになりますので、家事などで時短を求める場合、この点は大きなメリットでしょう。
また、戸建てに比べて駅近などの好立地にあることが多く、通勤時間の短縮や日常の生活範囲の効率化を図ることができます。
この他にも、住みやすさという点で検討するポイントは、住む人の数だけ無数に存在するでしょう。
ですので、ご自身が何をもって住みやすいと思うか、ポイントを可能な限り書き出して、よく比較した上で検討することをおすすめします。
それぞれどういった理由で選ばれているのか、ほんの一例ではありますがご紹介しますので、是非参考にしてみて下さい。
マンションを選択する理由
- 共用部の管理が必要ない
- 冬場に室内が暖かい
- 戸建てのメンテナンスが大変そう
- オートロックなど、セキュリティ面での安心感が高い
- 24時間ゴミ出し可や、ディスポーザーなど設備面の利便性が高い
- 眺望が良い(特に高層階)
など
戸建てを選択する理由
- 隣や上下を気にしなくてよい
- 駐車場、駐輪場が無料で、台数も確保できる
- マンションのエレベーター待ちが嫌
- 駐車場など、敷地内から居室内へアクセスが近いから楽
- 家族間のプライベートを保ちやすい
- 風通しや日当たりが良く快適
など
2-2. 購入費用での比較
続いて、購入費用で比較していきましょう。
まずは純粋な建物の購入価格で比較していきます。
2022年度フラット35利用者調査によると、購入費の平均はマンションで4,528.5万円、建売住宅で3,604.9万円、土地付き注文住宅で4,455.5万円となっており、若干マンションの方が高額な様です。
では、建物や土地以外で購入時にかかる費用はどうでしょうか。
マンションや戸建てを購入する際にかかる費用については、ここでは全てをご紹介することは控えますが、マンションと戸建てで違いが出てくる費用は以下の様な物が挙げられます。
・火災保険料
建物の構造や、耐火構造の要件を満たすかどうかといった点で保険料は変わってくるが、基本的に木造の戸建ての方が高くなります。
目安は戸建てで30万円前後、マンションで数万~10万円程度です。
また、任意加入の地震保険料も戸建ての方が数万程度高くなります。
・水道加入負担金
戸建てにのみかかる費用で、水道の利用申し込みに際して水道局に納付する費用です。
地域により金額が大きく異なりますが、10~30万円台が相場です。
エリアによって無料の場合もあります。
・修繕積立基金
マンションにのみかかる費用で、マンションの大規模修繕時に活用する積み立て金です。エリアや物件規模、間取りなどによって金額か異なりますが、20~40万円が相場です。
・仲介手数料
中古物件や新築の建売戸建ての多くは購入時に仲介手数料を支払うことになります。
手数料額は「(土地や建物の購入金額×3%+6万円)+消費税」が一般的です。
新築マンションの場合はかかりません。
・その他
注文住宅の場合にかかるつなぎ融資(物件の引渡し前にかかる費用の為の融資)の利息や、登録免許税(不動産登記にかかる税金)は、戸建ての方が高い費用がかかってしまう部分です。
これらの購入時に差が出る費用を合計すると、購入時にかかる費用は戸建ての方が数十万円多くかかる場合がほとんどです。
一方で、マンションは管理費や駐車場の費用、修繕積立金があり、ランニングでかかる費用はマンションの方が多くなります。
もちろん戸建てでも修繕が必要になれば修繕費用がかかりますが、20年30年と住んだ場合ランニングコストに関しては、戸建ての方が数百万円単位でコストが低くなることが一般的です。
2-3. 資産価値での比較
次に、資産価値で比較します。
戸建ての資産価値は、建物と土地それぞれの価値の合計で決まります。
一方、限られた土地を大勢で区分所有するマンションの場合、資産のうちの土地の案分が非常に小さいため、ほとんど建物の価値であると言っても過言ではありません。
これに加えて、構造上の特徴の違いから、マンションと戸建てでは資産価値の減り方にそれぞれ違いがあります。
建物の資産価値は、新築のタイミングから時間の経過と共に徐々に減少していく特徴があります。
ほとんどのマンションはRC造のため耐用年数が長く、それに合わせて資産価値の減少が緩やかです。
一方ほとんどが木造の戸建ては、耐用年数の短さに合わせて資産価値も早く減少します。
ですので、建物の価値を見ると資産価値の減少が緩やかなマンションの方が有利であると言えるでしょう。
一方、土地の資産価値は、築年数などに関係なく地価で決められます。
地価の大きな変動などがない限りは減ることはありません。
そのため、土地の資産価値に目を向けた場合は、土地の所有割合の小さいマンションに比べて、戸建ては資産価値の減らない資産を有していることになりますので、有利であると言えます。
これらの点から総じて、新築から10年など比較的築浅のタイミングでは建物の価値が落ちにくいマンションの方が資産価値が高く、逆に築深のタイミングでは価値の下がらない土地の割合の大きい戸建ての方が資産価値が高くなることが一般的です。
尚、将来的に住まなくなった時などに、賃貸や売買に出す場合、市場の流通性においてはマンションの方が有利な傾向があります。
これは、類似物件が市場に多くあることから相場がある程度固まっており、賃料や売買価格を算出しやすく、ブレも小さいことからです。
戸建ての場合は、立地、接道、メンテナンスの状態、設備仕様など、一棟一棟様々で類似物件も少なく、金額にブレが出やすくなります。
ただし、流通性にはマンションの方が優れている傾向があるものの、立地や仕様によっては戸建ての方が早く流通する場合がある点や、金額面でどちらが優れるという訳ではない点には留意しましょう。
2-4. 税金の比較
最後に、税金面からマンションと戸建てを比較していきましょう。
住宅を購入した後にかかる税金としては、固定資産税と都市計画税があります。
これらの税金と、購入時にかかる税金も含め、それぞれ見ていきましょう。
・固定資産税
固定資産税とは、土地や建物などの固定資産にかかる税金のことで、毎年不動産の所有者に課税される地方税です。
課税対象の資産の評価額に対して1.4%の金額で、所在地の市町村から課税されます。
固定資産税には軽減措置があり、新築の建物は1/2(戸建て3年、マンション5年)、住宅用地では1/6に軽減され、その税額は「固定資産税評価額 × 軽減率 × 1.4%」で計算されます。
固定資産税評価額は土地や建物を資産価値を元に計算されるため、建物の課税額は資産価値の減少が緩やかなマンションの方が高くなり、土地分の軽減率も大きいことから、マンションの方が固定資産税が高い期間が長く続くことが一般的です。
・都市計画税
都市計画税も、固定資産税と同様に固定資産にかかる税金のことで、原則として市街化地域内にある物件に対して課税される地方税です。
市街化区域外に土地や建物を所有している場合、この都市計画税は課税されません。
都市計画税は、下水道整備や道路整備、公園の建設など都市計画事業に充てるために課税される税金で、固定資産税評価額に対して自治体によって異なる税率(上限0.3%)で課税されます。
尚、都市計画税の軽減措置は、住宅用地で1/3、建物には軽減がありません。
この都市計画税も、固定資産税評価額を元に課税額が決定していますので、固定資産税と同様にマンションの方が高い期間が長く続くことが一般的です。
・購入時にかかる税金
マンションや戸建てを購入する際にかかる税金としては、印紙税や登録免許税があります。
印紙税は売買契約書や請負契約書、ローンの契約書などに貼付する印紙代のことです。
ここではマンションと戸建てによって大きな差は出てきません。
不動産の取得した際に所有権の保存や移転、抵当金を登記します。
この際にかかる税金が登録免許税です。
固定資産税評価額、または新築で固定資産税評価額が付けられていない場合は法務局で認定した課税標準価格に税率をかけて計算されます。
この税率は登記の種類によって異なるのですが、新築の場合においては建物の所有権保存登記よりも土地の移転登記に大きい税率がかかります。
そのため、新築マンションと新築戸建てを比べた場合においては、土地の割合の大きい戸建ての方が費用が高くなることが一般的です。
購入時など、一時的に戸建ての方が税金が高いタイミングはありますが、基本的には払う税金はマンションの方が高くなる傾向がある、と言ってよいでしょう。
3. まとめ
さて今回は、購入するならマンションと戸建てどちらを選ぶべきなのか、それぞれのメリット・デメリットや考慮すべきポイントについてお伝えしました。
この記事でご紹介してきた通り、それぞれに特徴や選ぶべき理由、メリット・デメリットがあり、一概に「マンションと戸建てのどちらが良い」と言えるものではありません。
住居の購入は、ほとんどの方にとって一生に一度の、やり直しがきかない一大イベントです。
ご自身が優先したいポイントや譲れないポイントを踏まえ、より様々な視点から比較検討し、悔いの残らない住まい選びをしましょう。

ホームマップ編集部
一級建築士や宅地建物取引士、インテリア・福祉住環境コーディネーター、住宅営業、およびファイナンシャルプランナーが在籍しております。私たちは、住宅や生活空間に関する深い知識と実務経験を生かし、読者の皆様にとって有益で実践的な情報を提供することを目指しています。家づくりに必要な知識から、インテリアの最新トレンド、資金計画まで、各分野の専門家が連携を取りながら、質の高い内容をお届けします。私たちの記事が、より良い家づくりを実現するお手伝いとなれば幸いです。