家を建てるなら鉄筋?鉄骨?それぞれの特徴を解説

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家を建てるなら鉄筋?鉄骨?それぞれの特徴を解説

家を建てる際、鉄筋コンクリート造と鉄骨造のどちらを選ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

 

それぞれの構造には、耐久性や居住性、コストなど様々な違いがあります。

 

本記事では、鉄筋コンクリート造と鉄骨造の特徴を詳しく解説し、メリット・デメリットを比較します。

 

また、法定耐用年数の違いが投資価値に及ぼす影響についても触れます。

 

構造選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴と適用範囲

鉄筋コンクリート造(RC造)は、コンクリートの中に鉄筋を格子状に配置し、一体化させた構造です。

 

コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引張力に強いという特性を活かし、両者の長所を組み合わせることで高い強度と耐久性を実現しています。

1-1. 鉄筋コンクリート造の構造と特性

RC造の特徴として、 優れた遮音性、気密性、耐震性、耐火性が挙げられます。

 

コンクリートの高い密度により、音の伝わりを抑制し、隙間が少ないため高い気密性を保ちます。

 

また、鉄筋とコンクリートが一体化することで、地震などの外力に対する耐性が高くなります。

 

さらに、コンクリートは不燃材料であるため、火災時の延焼を抑える効果があります。

 

これらの特性から、RC造は集合住宅や公共施設など、安全性と居住性が求められる建物に広く採用されています。

1-2. 鉄筋コンクリート造の適用範囲と発展

鉄筋コンクリート造は、当初は中低層のマンションや事務所ビルに主に使用されていました。

 

しかし、技術の発展に伴い、高層マンションへの適用も増加しています。

 

高強度コンクリートや高強度鉄筋の開発、構造設計技術の向上により、より高層な建物にもRC造が採用されるようになりました。

 

また、プレキャスト工法や型枠工法などの施工技術の進歩により、工期短縮とコスト削減が可能になっています。

 

現在では、50階建て以上の超高層マンションにもRC造が使用されるなど、その適用範囲は拡大し続けています。

 

RC造の発展は、都市部における集合住宅の高層化や、防災拠点となる公共施設の建設を支えています。

1-3. 鉄筋コンクリート造の主な使用用途

鉄筋コンクリート造は、その優れた特性から多岐にわたる用途で使用されています。

 

以下に主な使用用途を列挙します。

  1. 集合住宅(マンション、アパートなど)
  2. 事務所ビル
  3. 学校、病院などの公共施設
  4. 商業施設(ショッピングセンター、百貨店など)
  5. ホテル
  6. 駐車場
  7. 工場や倉庫の一部

これらの建物では、 RC造の高い安全性と耐久性が求められます。

 

特に、不特定多数の人々が利用する施設では、火災や地震に対する安全性が重視されます。

 

また、居住空間としての快適性や、長期的な使用に耐える耐久性も必要とされます。

 

RC造は、これらの要求に応える構造として、現代社会において不可欠な建築材料となっています。

 

今後も、技術革新により更なる高層化や大空間の実現、環境負荷の低減などが期待されています。

2. 鉄骨造(S造)の特徴と種類

鉄骨造(S造)は、鋼(Steel)を主要な建築材料として用いた建築構造です。

 

柱や梁などの構造体に鋼材を使用することで、 高い強度と靭性を確保しています。

2-1. 鉄骨造の構造と特性

鉄骨造の特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 軽量で施工性に優れ、工期短縮が可能
  • 大空間やオープンスペースを確保しやすい
  • 構造体が軽いため、基礎工事のコスト削減が見込める
  • リユースやリサイクルが容易

一方で、鉄筋コンクリート造と比較すると 火災時の耐火性や遮音性が低い という課題もあります。

 

これらの特性を踏まえ、建物の用途や規模に応じて適切な設計と施工が求められます。

2-2. 軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違い

鉄骨造は、使用する鋼材の種類や寸法によって、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分類されます。

 

それぞれの特徴を理解することで、建物の用途に合わせた選択が可能となります。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、比較的小さな断面の鋼材を使用した構造です。材料が軽量で扱いやすいため、プレハブ工法との組み合わせにより工期短縮とコスト削減が可能です。主に戸建住宅や小規模な商業施設に適しています。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は、大きな断面の鋼材を使用した構造です。柱や梁が太く丈夫なため、高層建築物や大空間を必要とする建物に適しています。また、自由な間取り設計が可能であり、用途に合わせた柔軟な空間構成が実現できます。

2-3. 鉄骨造の主な使用用途

鉄骨造は、その特性を活かして様々な用途の建物に使用されています。

 

以下に、主な使用用途を列挙します。

  1. 高層マンション・オフィスビル
  2. 商業施設・ショッピングモール
  3. 工場・倉庫
  4. 体育館・スポーツ施設
  5. 戸建住宅(軽量鉄骨造)

建物の規模や要求される性能に応じて、鉄骨造の種類や工法を適切に選択することが重要です。

 

設計者や施工者との綿密な協議を通じて、最適な鉄骨造の建築を実現することができるでしょう。

3. 鉄筋コンクリート造と鉄骨造のメリット・デメリット比較

ここでは、鉄筋コンクリート造と鉄骨造のメリットとデメリットを比較し、構造選択時の考慮点について解説します。

 

適材適所の観点から、それぞれの長所を活かせる構造を見極めていきましょう。

3-1. 鉄筋コンクリート造のメリットとデメリット

鉄筋コンクリート造は、コンクリートに鉄筋を格子状に配置し補強した構造です。

 

遮音性、気密性、耐震性、耐火性に優れるのが特長で、中低層のマンションに多く採用されています。 技術の発達により、高層マンションへの適用も増えつつあります。

 

鉄筋コンクリート造の主なメリットは以下の通りです。

  • 高い遮音性と気密性を有する
  • 地震や台風などの災害に対する耐性が高い
  • 火災時の延焼を防ぐ優れた耐火性がある

一方、デメリットとしては次の点が挙げられます。

  • 鉄骨造と比べて建築コストが割高になる
  • コンクリートの密閉性から湿気がこもりやすい
  • 間取り変更の自由度が低い

3-2. 鉄骨造のメリットとデメリット

鉄骨造は、鋼材(スチール)を骨組みに用いた構造方式です。主に高層マンションや戸建て住宅、工場など幅広い用途に適用されています。

 

軽量鉄骨造はプレハブ工法による工期短縮とコスト削減が可能で、重量鉄骨造は自由な間取り設計を実現できるのが魅力です。

 

鉄骨造の主なメリットは次の通りです。

  • 工場である程度組み立てるため、現場での工期短縮とコスト削減が図れる
  • 柱や梁のサイズを調整することで、自由な間取り設計が可能
  • 軽量で施工性に優れ、狭小地でも建築しやすい

反面、以下のようなデメリットがあります。

  • コンクリートに比べ耐火被覆が必要で、火災時の安全性にやや劣る
  • 遮音性能が鉄筋コンクリート造よりも低い
  • 経年劣化により錆びが発生しやすい

3-3. 構造選択時の考慮点

鉄筋コンクリート造と鉄骨造、どちらを選ぶべきかは一概に言えません。

 

立地条件や建物用途、ライフスタイル、予算など、様々な要素を考慮する必要があります。

 

それぞれの特性を踏まえ、長期的な視点で検討することが重要でしょう。

耐用年数

法定耐用年数は構造によって異なります。鉄筋コンクリート造は47年、重量鉄骨造は34年、軽量鉄骨造は27年と定められています。投資物件として建てる場合や、将来の税金計算を見越す際は、この点も考慮に入れましょう。

立地と環境

都市部の狭小地では鉄骨造が、郊外の広い土地では鉄筋コンクリート造が適している場合が多いです。周辺環境との調和や、日照・風通しなども考慮しましょう。

間取りの自由度

間取りの自由度では鉄骨造が優位です。一方、鉄筋コンクリート造は壁の配置変更が難しいので、長期的に使える間取りを設計する必要があります。

ランニングコスト

鉄筋コンクリート造は気密性が高く冷暖房効率に優れるため、光熱費を抑えられます。一方、鉄骨造は耐火被覆など定期的なメンテナンスが必要で、費用がかさむ場合もあります。

以上の点を踏まえつつ、設計士や施工会社とよく相談して、最適な構造を選択するようにしましょう。

4. 鉄筋コンクリート造と鉄骨造の耐用年数と投資価値

ここまで見てきたように、鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造(S造)は耐久性や耐火性、コストなどさまざまな違いがあります。

 

特に、耐用年数の差は投資価値に大きく影響するため、注意が必要です。 

 

ここでは、鉄筋コンクリート造と鉄骨造の法定耐用年数や構造による実質的な耐用年数の違い、それらが投資や税金計算に与える影響について詳しく解説していきます。

4-1. 鉄筋コンクリート造と鉄骨造の法定耐用年数

建物の法定耐用年数とは、税法上定められた資産の使用可能期間のことを指します。

 

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年、鉄骨造は27年と定められています。

 

この期間内で建物の価値を減価償却することができるのです。

 

ただし、法定耐用年数はあくまで税法上の区分であり、実際の建物の寿命とは異なります。

 

適切なメンテナンスを行えば、これらの年数以上に建物を使用し続けることが可能です。

4-2. 構造による耐用年数の違いと影響

一般的に、鉄筋コンクリート造は鉄骨造よりも長持ちすると言われています。

 

その理由は、コンクリートが鉄筋を覆うことで錆びにくくなり、建物の劣化を防ぐからです。

 

実際、適切に施工・メンテナンスされた鉄筋コンクリート造の建物は、100年以上使用できる場合もあります。 

 

一方、鉄骨造は鉄骨が露出しているため、錆びやすく耐久性で劣ります。

 

とはいえ、鉄骨造でも定期的なメンテナンスや塗装により、法定耐用年数以上の寿命を保つことは十分可能です。

4-3. 構造選択と投資・税金計算の関係

建物の構造選択は、単に好みの問題だけではありません。

 

耐用年数の違いは投資価値にも影響してきます。

 

鉄筋コンクリート造は耐用年数が長いため、長期的な資産価値の維持が期待できます。

 

一方、鉄骨造は初期投資が比較的低く抑えられるメリットがあります。

 

また、法定耐用年数の差は税金計算にも関わってきます。

 

鉄筋コンクリート造は47年、鉄骨造は27年で建物の価値を償却できるため、年間の償却額は鉄骨造の方が大きくなります。

 

これは節税効果の面で有利に働く可能性があります。

 

以上のように、鉄筋コンクリート造と鉄骨造にはさまざまな違いがあり、それぞれに長所と短所があります。

 

構造選択の際は、耐久性や耐火性だけでなく、長期的な投資価値や税務上のメリットについても考慮することをおすすめします。

 

自分のライフプランやニーズに合わせて、最適な構造を選択していきましょう。

まとめ

鉄筋コンクリート造と鉄骨造は、家づくりの主要な構造方式です。

 

本記事では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、構造選択時の考慮点を提示しました。

 

鉄筋コンクリート造は耐久性や遮音性に優れ、鉄骨造は工期短縮や自由な間取り設計が可能です。

 

法定耐用年数の違いは投資価値にも影響するため、長期的な視点で検討することが大切です。

この記事を書いた人

ホームマップ編集部

一級建築士や宅地建物取引士、インテリア・福祉住環境コーディネーター、住宅営業、およびファイナンシャルプランナーが在籍しております。私たちは、住宅や生活空間に関する深い知識と実務経験を生かし、読者の皆様にとって有益で実践的な情報を提供することを目指しています。家づくりに必要な知識から、インテリアの最新トレンド、資金計画まで、各分野の専門家が連携を取りながら、質の高い内容をお届けします。私たちの記事が、より良い家づくりを実現するお手伝いとなれば幸いです。

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