建売住宅とは?メリットとデメリットを解説
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住宅を購入する際、建売住宅は注文住宅と比べてどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
建売住宅は価格が安く、即入居できるといった魅力がある一方で、間取りや設備の自由度が低いなどの課題もあります。
この記事では、建売住宅の特徴や購入の流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
建売住宅購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. 建売住宅とは
建売住宅とは、不動産会社や住宅メーカーがあらかじめ土地を取得し、設計・施工を行って販売する新築住宅のことを指します。
建売住宅は、一般的に注文住宅よりも価格が安く、完成までの期間が短いという特徴があります。
1-1. 建売住宅の購入プロセス
建売住宅の購入プロセスは、以下の手順で進められます。
- 物件情報の収集
- 現地見学・モデルルーム見学
- 資金計画の作成
- 契約締結
- ローン審査
- 引き渡し
建売住宅の購入にあたっては、まず物件情報を収集し、現地見学やモデルルーム見学を行って、物件の状態や周辺環境を確認します。
その後、資金計画を作成し、契約締結に進みます。
建売住宅の場合、注文住宅と比べて契約から引き渡しまでの期間が短いため、スムーズに手続きを進められるというメリットがあります。
1-2. 建売住宅の市場動向と価格相場
建売住宅の市場は、近年では堅調に推移しています。
国土交通省の調査によると、2020年の新設住宅着工戸数のうち、建売住宅は約30%を占めています。
建売住宅の価格相場は、地域や物件の立地、間取り、設備によって大きく異なります。
首都圏における建売住宅の価格相場は、以下の通りです。
エリア | 価格相場 |
---|---|
東京都 | 3,000万円~5,000万円 |
神奈川県 | 2,500万円~4,000万円 |
埼玉県 | 2,000万円~3,500万円 |
千葉県 | 2,000万円~3,500万円 |
建売住宅の価格は、土地の価格が大きく影響するため、都心部や人気のエリアほど高くなる傾向があります。
建売住宅を購入する際は、自分の予算と希望する立地や間取りを考慮し、物件選びを行うことが重要です。
また、建売住宅の価格は、市場の動向によって変動します。
景気の上昇局面では、建売住宅の価格が上昇する傾向があるため、購入のタイミングにも注意が必要です。
建売住宅は、注文住宅と比べて価格が安く、完成までの期間が短いというメリットがある一方で、設計の自由度が低く、立地や周辺環境を選べないというデメリットがあります。
建売住宅の購入にあたっては、自分の予算や希望する条件を明確にし、物件選びに十分な時間をかけることが大切です。
2. 建売住宅のメリット
建売住宅には、注文住宅にはない多くのメリットがあります。
ここでは、建売住宅の主なメリットについて詳しく解説していきます。
2-1. 即入居可能で手間が少ない
建売住宅の最大のメリットは、すぐに入居できる点です。
建売住宅は、すでに完成している物件が多いため、契約後すぐに入居することができます。
注文住宅の場合、土地探しから始まり、設計、建築、完成まで長い時間がかかりますが、建売住宅なら、そのような手間や時間を省くことができるのです。
特に、急な転勤や家族構成の変化などで、早急に住まいを確保する必要がある場合には、建売住宅は非常に便利な選択肢となります。
また、建築に関する知識がなくても、専門家による設計・施工がされているため、安心して任せることができます。
2-2. 価格が明確で経済的
建売住宅のもう一つの大きなメリットは、価格が明確で経済的な点です。
建売住宅は、土地代と建物代がセットになった価格で販売されているため、初めから総額が明確です。
注文住宅の場合、土地代、設計料、建築費用など、様々な費用が発生し、最終的な総額が予算オーバーになってしまうリスクがありますが、建売住宅なら、そのような心配がありません。
また、建売住宅は、大量生産によるコストダウンや、規格化された部材の使用により、注文住宅に比べて、同じ広さの物件でも価格を抑えることができます。
予算が限られている場合や、無理のない資金計画を立てたい場合には、建売住宅は経済的で現実的な選択肢と言えるでしょう。
2-3. 住宅ローンの審査が通りやすい
建売住宅は、住宅ローンの審査に通りやすいというメリットもあります。
建売住宅は、すでに完成している物件が多いため、銀行などの金融機関にとって、融資するリスクが少ないと判断されやすいのです。
また、建売住宅の販売会社と提携している金融機関があれば、その金融機関の住宅ローンを利用することで、審査がスムーズに進む場合もあります。
一方、注文住宅の場合、土地の評価や建築計画の審査など、住宅ローンの審査に時間がかかることがあり、場合によっては、希望の金額が借りられないこともあります。
住宅ローンの審査に不安がある場合や、確実に資金を確保したい場合には、建売住宅を選ぶのも一つの方法です。
3-3. アフターサービスが充実
建売住宅は、アフターサービスが充実している点も大きなメリットです。
多くの建売住宅販売会社では、定期的な点検やメンテナンスを行っており、何か不具合があれば、迅速に対応してくれます。
また、住宅設備の故障や不具合に対する保証も充実しているため、万が一の場合でも安心です。
さらに、建売住宅販売会社によっては、インテリアの相談や、リフォームのサポートなど、入居後のサービスも充実しています。
注文住宅の場合、アフターサービスは施工会社によって異なり、独自に対応しなければならないことがありますが、建売住宅なら、販売会社が責任を持ってサポートしてくれるので、安心感があります。
長期的に快適に暮らすために、アフターサービスの充実は必須の要素の一つと言えるでしょう。
4. 建売住宅のデメリット
4-1. 間取りや設備の自由度が低い
建売住宅は、あらかじめ決められた間取りや設備となっているため、自分の好みや生活スタイルに合わせた自由なカスタマイズが難しいというデメリットがあります。
間取りの変更や、キッチンやバスルームなどの設備の選択肢が限られているため、自分の理想とする住まいを実現するには制限があるでしょう。
4-2. 立地や周辺環境を選べない
建売住宅は、住宅会社が土地を取得し、そこに住宅を建てて販売するため、立地や周辺環境を自分で選ぶことができません。
学校や職場への通勤・通学の利便性や、買い物などの生活利便性が低い場所に建てられている可能性もあります。
4-3. 耐震性や耐久性への不安
建売住宅は、多くの場合、コストを抑えるために工期が短く設定されています。
そのため、施工の品質が低下し、耐震性や耐久性に不安が残るというデメリットがあります。
耐震性の問題
耐震性が十分でない住宅は、地震の際に倒壊や損傷のリスクが高くなります。
耐久性の問題
材料や工法の選択によっては、経年劣化が早く進行し、修繕やメンテナンスが頻繁に必要になる可能性があります。
4-4. 将来的な増改築が難しい
建売住宅は、当初の設計・施工時に将来的な増改築を考慮していない場合があります。
家族構成の変化や生活スタイルの変更に合わせて、間取りの変更や部屋の増築を行うことが難しいというデメリットがあります。
構造上の制限
建売住宅の構造によっては、壁の撤去や移動が困難な場合があります。
敷地面積の制限
建売住宅の敷地面積が限られている場合、増築のためのスペースが確保できない可能性があります。
5. 建売住宅購入時の注意点
5-1. 物件の現地確認と検査の重要性
建売住宅を購入する際、物件の現地確認と検査は非常に重要です。
実際に物件を訪れ、内覧することで、間取りや設備、仕様などを直接確認できます。
また、住宅の品質や施工状況を専門家に検査してもらうことも必要不可欠です。
建物の構造や設備、使用材料などが適切であるかを確認し、潜在的な問題点や不具合を見つけ出すことができます。
検査の際は、以下のような点に注意しましょう。
- 基礎や柱、梁などの構造部分の状態
- 屋根や外壁の防水性能
- 電気や水道、ガスなどの設備の作動状況
- 建具や内装材の品質と施工状態
物件の現地確認と検査を怠ると、購入後に思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
納得できる物件であるか、十分に確認することが大切です。
5-2. 契約内容の十分な理解と確認
建売住宅の購入は、人生の中でも大きな決断の一つです。
契約内容を十分に理解し、確認することが重要となります。
契約書には、物件の詳細や価格、支払い方法、引渡し時期、アフターサービスなどが記載されています。これらの内容を丁寧に読み、不明点があれば販売担当者に質問し、納得できるまで説明を受けましょう。
特に注意すべき点は以下の通りです。
- 物件の面積や間取り、仕様が希望通りであるか
- 予算に見合った価格設定になっているか
- ローンの金利や返済期間、月々の支払い額
- 契約解除や変更に関する条件と手数料
- アフターサービスの内容と期間
契約書は購入者の権利と義務を定めた重要な書類です。
内容を十分に確認し、必要であれば専門家に相談することをおすすめします。
5-3. 周辺環境や将来性の調査
建売住宅を購入する際は、物件だけでなく周辺環境や将来性も考慮する必要があります。
住み始めてから不便さを感じたり、環境の変化によって住みにくくなったりすることのないよう、事前の調査が大切です。
まず、日常生活に欠かせない施設の有無や距離を確認しましょう。
- スーパーやコンビニ、商店街などの買い物施設
- 病院や診療所などの医療機関
- 保育園や幼稚園、学校などの教育施設
- 銀行やATMなどの金融機関
- 公園や緑地などの憩いの場
また、交通の利便性も重要なポイントです。
最寄りの駅やバス停までの距離、都心へのアクセス、道路事情などを調べておきましょう。
さらに、地域の将来性も見据えておく必要があります。人口動態や開発計画、自然災害のリスクなどを調査し、長期的に住み続けられる環境かどうかを見極めましょう。
物件の周辺環境や将来性は、住宅購入の判断材料として欠かせません。
現地を訪れて実際の雰囲気を感じ取ることも大切です。
5-4. マイホームを長く快適に過ごすための工夫
建売住宅は、多くの人にとってマイホームとなる大切な住まいです。
長く快適に過ごすためには、購入時だけでなく入居後も様々な工夫が必要となります。
まず、定期的なメンテナンスを欠かさないことが大切です。
住宅の点検や修繕、設備の交換などを計画的に行うことで、建物の長寿命化と居住性の維持につながります。
メンテナンスの例
屋根や外壁の塗装、排水管の清掃、給湯器の交換など、定期的に行うべきメンテナンスは多岐にわたります。
専門家に依頼することで、適切な時期に必要な作業を実施できます。
また、ライフスタイルの変化に合わせてリフォームを検討するのも一つの方法です。
家族構成や生活スタイルに合わせて間取りを変更したり、設備を更新したりすることで、快適性や利便性を高められます。
リフォームの例
子供部屋を増設する、キッチンや浴室を一新する、バリアフリー化を進めるなど、目的に応じてリフォームの内容を検討しましょう。
費用対効果を考慮し、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
さらに、省エネルギー化や環境配慮も大切なポイントです。
断熱性能を高めたり、太陽光発電を導入したりすることで、光熱費の削減と環境負荷の低減を図れます。
マイホームを長く快適に過ごすためには、継続的な関心と投資が必要です。
愛着を持って住まいと向き合い、時代の変化に合わせて柔軟に対応していくことが大切です。
6. まとめ
この記事では、建売住宅の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
建売住宅は価格が安く即入居できる魅力がある一方、間取りの自由度が低いなどの課題もあります。
建売住宅の購入を検討する際は、物件の現地確認や契約内容の理解、周辺環境の調査が重要です。
参考にしていただき、理想のマイホーム選びに役立てていただければ幸いです。

ホームマップ編集部
一級建築士や宅地建物取引士、インテリア・福祉住環境コーディネーター、住宅営業、およびファイナンシャルプランナーが在籍しております。私たちは、住宅や生活空間に関する深い知識と実務経験を生かし、読者の皆様にとって有益で実践的な情報を提供することを目指しています。家づくりに必要な知識から、インテリアの最新トレンド、資金計画まで、各分野の専門家が連携を取りながら、質の高い内容をお届けします。私たちの記事が、より良い家づくりを実現するお手伝いとなれば幸いです。