【建売住宅の買い方】欲しいと思ってから住み始めまでの流れ
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新築の一戸建て住宅を検討する場合、建売住宅と注文住宅があります。
注文住宅に関しては、土地から部屋の間取り、設備、デザインなどを決めていくオーダメイドの住宅でイメージが付きやすいでしょう。
一方で、建売住宅に関してはどのようなものが販売されているかイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
本記事では建売住宅の購入検討を始めてから住み始めるまでのスケジュールや購入時の注意点を細かく説明していきます。
注文住宅よりも建売住宅の購入が適している方もいると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 建売住宅とは
建売住宅とは、売主が土地に新築住宅を建てて販売することを指します。
一般的には、ハウスメーカーや工務店などの売主が土地を仕入れ、ターゲットを設定し、間取りや設備を決めてから販売します。
建売り住宅は、注文住宅に比べて価格が安く、入居までの期間も短いのが魅力です。
また、すでに建っている住宅を購入するため、内覧が可能です。
そのため、「イメージと違った」というトラブルも起きにくいと言えます。
いくつか例外はありますが、一般的には竣工済みの住宅が販売されることが多いです。
予算を抑えて住宅を購入したい方や、間取りや設備に特にこだわらない方には、建売り住宅の購入をおすすめします。
2. 建売住宅を購入する際の流れ
建売住宅を購入する手順を紹介していきます。
2-1. 予算の検討と物件探し
建売住宅を検討する際には、まずは予算を決める必要があります。
現実に建売住宅の価格は地域によって大きく異なり、安い地域でも2000万円程度はかかるものと考えておいた方が良いでしょう。
このような場合、多くの方は住宅ローンを利用して購入を行います。
住宅ローンの限度額は世帯年収の7倍と言われており、例えば500万円の世帯年収であれば最大で3500万円までの借入が可能になります。
しかし、単純に限度額の3500万円を上限とするのは危険です。
実際に計算してみると、3500万円を35年間、年利0.5%元利均等返済で借りた場合、毎月の支払額は90,854円となります。
この金額が今までの家賃支出と比べて高すぎないか、そして35年間もこの金額を支払い続けることができるかどうかを考える必要があります。
一般的には、住宅ローンの返済額は年収の25%以内であれば適正とされ、30%を超えると負担が大きいと言われています。
将来的な教育費や医療費などの支出を見据えて、適切な予算額を決めるようにしましょう。
住宅ローンの返済額は、住宅保証機構株式会社の提供する「住宅ローンシミュレーション」を利用して試算することができます。
シミュレーションを行い、おおよその予算を決めたら、物件探しを始めましょう。
不動産ポータルサイト「SUUMO」「HOME'S」「at home」などを活用するのが簡単な方法です。
希望するエリアや間取りなどの条件を入力し、新築戸建の販売情報を検索してみましょう。
不動産価格は立地や広さ、そして築年数などで決まりますが、建売住宅の場合は築年数は変わらないため、立地と広さが主な要素になります。
希望する範囲内で予算に収まる物件が見つかったら、掲載している不動産会社に問い合わせをしましょう。
予算に近い物件が見つからない場合は、最寄り駅を変えたり駅からの距離を選択肢に加えることで、より希望に近い物件を探すことができます。
このようにして、建売住宅のおおよその立地や間取りを決めることができます。
2-2. 物件の内覧
まず、物件を探す際は、不動産ポータルサイトを活用することをおすすめします。
ポータルサイトでは、自分の希望や条件に近い物件を探すことができます。
そして、その条件に合致する物件が見つかったら、情報を掲載している不動産会社に連絡をしましょう。
多くのポータルサイトは、電話やメールなどの方法で問い合わせが可能です。
もし、条件に合う物件が見つからなかった場合でも、内覧を積極的に行うことをお勧めします。
なぜなら、実際に物件を見ることで、予想外の発見があるからです。
たとえば、収納の奥行きや広さ、周辺道路の利便性などは、インターネットの情報だけではわかりにくいことがあります。
また、内覧や問い合わせは無料で行うことができるため、時間の許す限り内覧を行うことをおすすめします。
内覧する中で気に入らない物件があったとしても、不動産会社の営業担当が購入の希望条件をヒアリングしたうえで類似の物件を紹介してくれることもあります。
また、ポータルサイトに掲載されていない物件を紹介してもらったり、地域の情報を知ることができる場合もあります。
そのため、内覧は多く行うことをお勧めします。
そして、内覧を通して信頼できる営業担当を見つけたら、その方から物件情報を紹介してもらうと、物件探しがスムーズに進みます。
具体的な希望条件を伝えておけば、自分でポータルサイトを探す手間も省けます。
ただし、内覧を行わずに紹介依頼をする場合は、内覧やヒアリングを行った人よりも、紹介の優先度が下がる可能性があります。
最終的に納得のいく物件が見つかったら、購入手続きを進めることになります。
2-3. 住宅ローン仮審査申し込み
住宅購入を決めたら、住宅ローンの仮審査申し込みを行います。
仮審査と購入申込はほぼ同じタイミングで行われます。
住宅ローンの仮審査とは、借り入れる金融機関に対して自身の年収や勤務先、物件の情報などを提供し、事前に借り入れの可否を判断してもらうものです。
仮審査は事前審査とも呼ばれ、細かな書類の提出は必要ありません。
ただし、年収や現在の状況から返済プランが現実的かどうかを審査されます。
仮審査をクリアすれば、本審査にも通過する可能性が高いです。
仮審査の結果が大きく変わらない限り、本審査も順調に進むでしょう。
仮審査は3日ほどで終了することが多く、遅くとも1週間で結果を知ることができます。
ただし、全額を現金や親族からの援助で賄う予定であれば、この段階の手続きは不要です。
2-4. 購入申し込み
住宅ローンの仮審査と同時に行うのが購入申し込みです。
売主に対して、購入意思を示すために購入証明書を提出します。
別名「買付証明書」と呼ばれることもあります。
この証明書には、購入希望物件の情報と金額、ローン特約の有無などが記載されています。
ローン特約とはローン審査の通過を条件に購入することを指します。
建売住宅の場合、一般的に「ローン特約あり」として、ローンの審査が通ることを条件に購入することが多いです。ただ、購入証明書は法的効力はありません。
つまり、提出したからといって必ず購入しなければならないというわけではありません。
しかし、関係各社や売主との関係を円滑にし引き渡しまでスムーズに進めるためには重要な書類です。
購入希望金額やローン特約の有無などに間違いがないか確認してから提出するようにしましょう。
また、法的拘束力は無いとは言え購入証明書提出後の申し込み取り消しは、可能な限り避けるべきです。
別の物件が気になるからといって、無闇に購入申請を取り消すと、不動産会社からの信頼を失うことにもつながり、次回以降の物件紹介を受けることが難しくなってしまいます。
2-5. オプション決定
住宅ローンの仮審査が通り、売主の売却承諾を得たら、建売住宅では外装や間取りの変更はできませんが、内装や設備についてはオプションで追加工事を行うことができます。
カタログから必要な追加工事を選択し、依頼することができるのが一般的です。
例えば、壁紙の色などは購入時に無料で選択できる場合もあります。
代表的なオプション工事として、以下のようなものがあります。
表札 | 2〜4万円 |
照明(1つ) | 5,000円〜2万円 |
エアコン(1台) | 10〜25万円 |
防犯フィルム | 15〜25万円 |
網戸(16枚) | 10~12万円 |
カーテンレール(1つ) | 3,000~4,000円 |
網戸やカーテンレールなど、生活に欠かせないものでも、一部にはオプション工事が必要なものがあります。
そのため、建売住宅の販売価格には、通常100〜200万円程度のオプション代金が追加でかかると思っていた方が良いでしょう。
2-6. ホームインスペクション検査
ホームインスペクション検査とは、住宅の専門家であるホームインスペクターが行う住宅の欠陥状況のチェックを指します。
新築建売住宅には10年間の品質保証が付いているため、ホームインスペクションは必要ないと考える人もいますが、第三者によるチェックによって思わぬ欠陥が発見されることもありますので、検査を受けることをお勧めします。
ホームインスペクション検査の費用は、住宅の広さによって異なりますが、買主負担で4.5〜6.5万円が一般的な相場となっています。
2-7. 売買契約と住宅ローンの契約締結
オプションの決定やホームインスペクション検査後、売買契約・住宅ローンの契約に進みます。
購入申込書の提出後、2週間から1ヶ月程度で契約締結が行われることが多いです。
不動産の売買契約は、不動産仲介業者が「重要事項説明書」と「契約書」の内容を説明し、売主・買主が揃って行われます。
契約書は法的書類になるため、疑問点は全て解決したうえで押印を行うようにしましょう。
また、物件の引き渡し前に一時金(手付金)の支払いがある場合はこのタイミングで支払うことになります。
無事契約が終わったら契約書の写しを住宅ローンを借りる金融機関に提出し、住宅ローンの本審査を行います。
住宅ローンの本審査には、詳細な物件書類や個人の証明書類なども必要になるため、事前に金融機関に必要書類について確認しておきましょう。
住宅ローンの本審査が終わったら、住宅ローン契約の締結となります。
2-8. 登記の準備
不動産の売買契約、住宅ローン契約が済んだあとに行うのが登記の準備です。
登記とは、ひとつひとつの土地や建物ごとの所在・面積・所有者・担保の有無(抵当権)などの権利関係を公示することをいいます。
建売住宅の売買契約においては、買主が不動産(土地・建物)の所有権を得たこと、金融機関が抵当権設定することを法務局に届け出ます。
抵当権とは、購入した不動産に金融機関が設定する権利のことです。
例えば、あなたが住宅ローンの返済が出来なくなった場合に、金融機関がその住宅をローンの代わりに弁済として受け取ることができます。
所有権、抵当権の登記を行うために必要な書類を金融機関に確認しておきましょう。
2-9. 物件の立ち会い
物件引き渡し前には、不動産会社の担当者と共に、物件の最終確認として立ち合いが行われます。
物件立ち合いは、引き渡しの1〜2週間前に行われることが一般的です。立ち合いでの確認が終了したら、立会確認書にサインをして引き渡しの日を待つことになります。
立ち合いは、購入物件に対する疑問点や指摘などを最後に確認できるタイミングになりますので、細かな点も含めて担当者にしっかり確認する様にしましょう。
また、引き渡し後の引っ越しに備えて家具の配置場所の最終確認や、間取りや家具・家電等の配置場所の採寸などを細かく行っておくこともおすすめです。
2-10. 残代金決済と引き渡し
残代金決済を最後に行い、引き渡しとなります。
残代金決済は住宅ローンを借りる金融機関か不動産会社で行われるのが一般的です。
住宅ローン契約書類を確認しながら、住宅ローンによる借入、売主への残代金の支払いが行われます。
買主・売主・金融機関・不動産会社で全ての書類・金銭の手続きが終わったら建売住宅の鍵が渡され、住宅の購入手続きは完了。晴れて引き渡しとなりますので、引越して住み始めることができるようになります。
3. 家が引き渡しになるまでどれくらい?
一般的に、物件の購入手続きは順調に進むと2ヶ月程度で引き渡しまで完了します。
具体的には、購入申込から契約締結までが約1ヶ月、契約締結から引き渡しまでが約1ヶ月です。
ただし、金融機関の審査に時間がかかったり、オプション工事に時間を要する場合は、さらに時間がかかることがあります。
また実際には、予算や立地などを検討し複数の物件を内覧内見していくのに最低でも2〜3ヶ月程度かかるため、引き渡しまでの目安としては6ヶ月程度と考えておくと良いでしょう。
条件を検討しているタイミングで住宅ローン申し込みを行う金融機関を比較したり、審査に必要な書類を確認したりと準備を進めておくと、引き渡しまでスムーズに手続きを進めることができます。
4. 建売住宅を購入する際に気をつけること
建売住宅はすでに建築済みのため、トラブルが少ないように思えるかもしれませんが、細かな確認を怠ったことで購入してから後悔している人もいます。
建売住宅の購入にあたって、特に注意すべき3点を紹介します。
4-1. 購入価格に何が含まれているのかチェックする
建売住宅の購入価格はポータルサイトなどで確認できますが、何が含まれているかは細かく確認しておかないとトラブルのもとになります。
一般的に建売住宅の販売価格は土地代金+建物代金で、オプション工事の料金は含まれません。
日常生活に必要なカーテンや照明の設置にもオプション料金がかかるので、表示された販売価格だけで新築住宅を購入できるとは考えないほうがいいです。
また、不動産登記の費用や金融機関に支払う事務手数料もあるため、物件検討の早い段階で物件購入に必要な総額の見積もりをもらうようにしましょう。
まれに、水道や電気など必須のインフラ工事に追加費用が必要なケースもあります。
4-2. 内覧時は隅々までチェックする
建売住宅は内覧してから購入を決められるのがメリットなので、メジャーや水平器などを持参して住宅内の隅々まで確認を行いましょう。
特に確認すべきは以下のようなポイントです。
- ベッドや大型家具を搬入することができるか
- 家具や家電をイメージ通りに配置できるスペースがあるか
- 施工不良と思われる傷や欠陥、床の傾きはないか
- 窓やドアは問題なく開閉できるか
新築住宅だからと安心せずに、不備がないかを隅々まで確認しましょう。
新築住宅でも施工不良で、思うように窓が開かないということもあります。
4-3. アフターサービスはあるのか
建売住宅は住宅の品質確保の促進などに関する法律(品確法)により、引き渡し後10年間の保証期間があります。
10年以内に以下の部分に欠陥があった場合、無償修繕の依頼や損害賠償の請求ができます。
- 「住宅の柱や壁など構造耐力上主要な部分」
- 「屋根など雨漏りを防ぐ部分」
品確法で定められた保証期間以上のアフターサービスを行っている住宅メーカーもあるため、住宅メーカー選びの基準にするといいでしょう。
例えば、網戸やクロスなど軽微な不具合にも2年までは無償で修繕可能としているメーカーがあります。
5. まとめ
建売住宅の買い方、スケジュールについて紹介してきました。
建売住宅は注文住宅に比べて、安く購入することができ、引き渡しまでの期間が短い特徴があります。
設備や間取りに特段のこだわりがなく、引越までの期限が決まっている方などは建売住宅を検討してみるといいでしょう。
最後に、建売住宅購入のポイントをまとめていますので、購入時に再度確認してみてください。
建売住宅購入のポイント
- 世帯年収やライフプランから建売住宅購入の予算を決める。
- 立地・間取りでおおよその物件価格が決まるため、予算を抑えたい場合は立地・間取りはある程度妥協する必要がある。
- 内覧を積極的に行い、不動産会社に希望条件を伝えておくと非公開物件を紹介してもらえることもある。
- 事前に金融機関選定や、書類準備を進めておくと購入の手続きがスムーズに進む。
(その他参考にしたもの)
住宅ローンの返済比率:
https://www.youtube.com/watch?v=Efcx893o1k0&t=836s
不動産売買は成功報酬:
https://gentosha-go.com/articles/-/5709
アフターサービス:
https://www.ie-miru.jp/articles/167
以上、【建売住宅の買い方】欲しいと思ってから住み始めまでの流れでした。
建売り住宅購入の際、少しでも参考になれば幸いです。

ホームマップ編集部
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