注文住宅の窓の決め方!窓選びの進め方と窓配置のコツをご紹介

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注文住宅の窓の決め方!窓選びの進め方と窓配置のコツをご紹介

注文住宅では、窓の種類や配置が住み心地と機能性に直結します。

 

自由度が高く選択肢が豊富なため、窓選びは慎重に行う必要がある一方で、窓選びまでこだわるのは、なかなか苦労することかと思います。

 

せっかくの夢のマイホームです。快適な住空間を実現するためにも、窓にもこだわりを持って選定しましょう。

 


本記事では、注文住宅における窓決めの進め方配置のコツを詳しく解説しています。
参考にしていただければ幸いです。
 

1. 窓を決めるために必要な視点

窓にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。

 

窓を決める際は、まず以下の5つのステップで情報整理を行うことが望ましいです。

 

  1. 窓の種類と特徴
  2. 窓の目的と機能性
  3. 色合いとデザイン
  4. 窓の配置と数
  5. 失敗談の確認

 

窓の種類については、「こちらの記事」で詳しく解説していますので合わせて確認してみてください。

 

このページでは、決め方と配置のコツを見ていきましょう。
 

 

2. 目的と機能性を整理して決める

注文住宅で窓を決める際の最初のステップは、目的と機能性です。
目的と機能性を考えて「窓の大きさ」と「窓の数」を決めましょう。

 

2-1. 人や物の出入りについて考える

まずは利用目的について考えましょう。
 

出入りの想定されているベランダ、庭とつながるリビングでは、人の出入りがあるため、床上から天井近くまでの大きな”掃き出し窓”が必要になります。


「人の出入り」だけでなく、「洗濯物の取り入れ」や、「寝室の布団を干したい」など、ライフスタイルの目的も考慮する必要もあります。

 

開閉タイプとしては二枚の窓が横にスライドし、開閉できる”引違い窓”が一般的です。


人や物の出入りが想定される場合は大きめの窓を選ぶと良いでしょう。

 

2-2. 採光性について考える

採光性は室内を明るくし、昼間に照明を使わなくても快適な暮らしが実現できます。

 

南向きの窓は日中の採光に最適ですが、大きな窓を設置したい場合には遮光対策にも注意する必要があります。

東向きと西向きの窓は、朝日と夕日が横から差し込むため、カーテンやブラインドを設置しやすい窓にすることもポイントです。

 

「軒先が長い」場合や、「部屋自体に奥行きがある」場合は光が入りづらいため、「三連スリット窓」や「スクエア窓」など複数の採光窓の組み合わせを検討するようにしましょう。
 

2-3. 通風性について考える

通風性は室内の空気を新鮮に保ち、湿気や臭いを外に排出します。

 

通風性のある窓を対角線上に配置することで、効果的な自然通風が期待できます。

風の流れの基本は、「大きな窓から小さな窓へ」と「下の窓から上の窓へ」になります。

家の四方と上下で4つ以上の窓は通風性を持った窓を選択するようにしましょう。

 

近年では、全館空調を採用している方も多いですが、故障した場合などを考え最低限の通風性を確保できるように配置することをおすすめします。
 

2-4. プライバシー確保について考える

人通りのある道や、隣の家と接している場合はプライバシーを考慮する必要があります。

 

熱線反射ガラスの採用や、高い位置に窓を設置する「高窓」、部屋全体が外から見えづらい「三連スリット窓」、小さな窓を4つ並べた「スクエア窓」などはプライバシーを確保しつつ、デザインに優れたものがあります。
 

2-5. 防犯性能(セキュリティ)について考える

セキュリティ面では、鍵付きの窓や防犯ガラスの選択が欠かせません。

 

「二重窓」や「複層ガラス」など安全性を考慮した窓選びに加え、「FIX窓」や「スリット窓」など侵入できない窓を選ぶことも有効です。

 

2-6. 断熱性や気密性について考える

断熱性能はガラス面だけでなく、サッシの種類、窓の隙間も大きく関係してきます。

 

「断熱性の高いガラス」や「サッシ」、「隙間のない構造」「比較的小さな窓」の窓にすることが、長期的なコスト削減に繋がります。

 

出入りが想定されないリビングやダイニング、冬に寒いと億劫になるお風呂場など、家族が良く使う空間は、断熱性と気密性の良い窓を選択すると良いでしょう。
 

2-7. メンテナンス性を考える

開閉を想定しないのであればFIX窓がおすすめです。

「引き違い窓」や「ルーバー窓」などの開くタイプの窓はホコリが溜まりやすく、戸車などのパーツメンテナンスも必要になってきます。

 

窓のメンテナンス性も考慮して選びましょう。

 

3. 色合いやデザインを考慮して決める

次のステップはデザインや色合いを決めることです。
家とマッチしない色合いにしてしまうと、せっかくの新築住宅が台無しになってしまいます。
見た目にも気を使ったものに決めるようにしましょう。

 

窓は、窓ガラスと窓枠(サッシ)で構成されていますので、窓枠の色合いが家全体の印象に大きな影響を与えます。

 

結論からお伝えすると、建物の色合いと近い色を選択することが望ましいです。
 

3-1. 窓枠(サッシ)のカラーと特徴

まずは色ごとの特徴について紹介します。


窓枠は外側と内側で色を変えることが出来る商品もありますので、内外のテイストに合わせてカラーを選ぶことも出来ます。

ホワイト系サッシ

ペールトーンやカラフルな家で採用されることが多く、海外風のカントリー調のデザインやカリフォルニアスタイルなどのトラディショナルスタイルと相性がいい。

汚れが目立ちやすい。

 

シルバー系サッシ

ホワイト系の外壁の家やガルバリウム鋼板のネイビー系の家で採用されることが多く、モダンスタイルと相性がいい。


汚れが目立ちにくい。

色合いも落ち着いており、比較的無難な選択肢になる。
 

ブラウン系、ゴールド系サッシ

瓦などの和の要素を含む家やグレーやベージュ系の外壁と相性がいい。
汚れが目立ちにくい。

色合いも落ち着いており、比較的無難な選択肢になる。
 

ナチュラル系、木目系サッシ

アンティークスタイルやナチュラルスタイルで多く採用され、独特の高級感を漂わせることが出来る。
汚れは目立ちにくいが、素材に高級感があるものを選ばなければ、安っぽいデザインになるので注意が必要。
 

ブラック系サッシ

黒い色は空間を引き締める作用があり、シックでモダンスタイルと相性がいい。

インダストリアルスタイルやミッドセンチュリースタイル、ダークトーンのモダンカフェスタイルなど高級感あるスタイルで採用されることが多い。


一方で黒色のサッシは窓枠のディテールを強調しすぎるため、室内のインテリアが浮いて見えることがあります。
明るいトーンの家やカジュアルなインテリアにはマッチしないことがあります。


また、黄砂や泥ハネなどの砂ホコリや、傷がよく目立つので黒色を選ぶ際はこの点も注意が必要です。
 

 

3-2. 窓枠(サッシ)の素材と特徴

次に素材の特徴について紹介します。

アルミ製サッシ

耐久性とメンテナンスの容易さが魅力のアルミサッシは、軽量で防錆性に優れている。
コストパフォーマンスも高く、長期にわたって使用可能。
 

樹脂製サッシ

断熱性と防音性に優れた樹脂サッシは、エネルギー効率の良さが特徴。
色やデザインのバリエーションが豊富で、住宅の外観を美しく保つことが出来る。

紫外線による劣化はあるが、断熱性など性能を優先したいならおすすめ。
 

木製サッシ

自然の温もりを感じさせる木製サッシは、優れたデザイン性が特徴。
時間が経つにつれて味わい深くなる一方で、使用環境が適切でないとカビなどが発生するリスクも高い。
検討するなら特別なこだわりを持って選ぶこと。
 

 

4. 配置について考慮して決める

窓の種類とサッシの色合いが整理できれば、配置や位置を調整して窓を選びましょう。

 

それでは窓配置のコツを解説します。

4-1. 住宅地にある住宅での窓配置

住宅が隣接する土地ではプライバシーや防犯性能を重視することが多く、配置にコツが必要になります。

 

住宅地でなくても、人通りの多い道路や角地などに大きな窓を配置してしまうと、プライバシーの観点からカーテンを閉めっぱなしなりかねませんので設計の際には注意が必要です。

 

特に、リラックスしたいリビングなどでは、スリット窓やスクエア窓、高窓、地窓など配置を工夫できる窓を選ぶことをおすすめします。

 

 

また、近年では中庭や吹き抜けを家の中心に設けることで、家の内側だけに窓を設置する(外観では窓が見えない)事例も増えています。

注文住宅の間取り設計の場合は検討してみてはいかがでしょうか。

 

4-2. 郊外ある住宅での窓配置

郊外にある住宅の場合は選択肢は豊富です。

眺望や日当たりを活かし、採光を最大限に得られるような窓の配置や大きさを考えましょう。


一方で日当たりが良いため、大きすぎる窓を設置すると室内が熱くなる問題も発生します。

大きな窓を設置する場合は方角に注意したり、庇やアウターシェードを取り付ける等の窓以外の設備を検討することもコツの一つです。

 

4-3. 窓の数の決め方

窓の数が多すぎると外観のバランスが取りづらいだけでなく、耐震強度にも影響する場合があります。
一方で少なすぎると閉塞感が生じる空間になりますので、採光と通風性を考慮して、部屋ごとに1つ以上の窓を配置することが一般的です。

 

また、窓の種類についても重要です。

例えば、

外壁の素材が異なる部屋同士や、ベランダなどがあり他の部屋とは見た目が異なる部屋同士の窓を同じ種類にするのは野暮ったくなる要因になります。

素材が異なる外壁であれば、一方はスリット窓にしたり、一方は上下窓にするなどの工夫をします。

ベランダなどは視界を遮る効果があり窓に注目が集まりませんので、コストパフォーマンスに優れる引き違い窓を採用するなどです。

 

家の表情にあわせて異なる窓を配置することもコツになります。

 

 

地域によっては、窓のサイズや数について特定の建築規制が存在する場合もありますので、具体的な窓選びのタイミングになれば担当者に確認しながら進めてください。
 

 

4-4. おしゃれな外観と窓配置を実現する4つの法則(余談)

家の外観のおしゃれさは、外構も含めた4つの要因が絶妙なバランスのもとに成り立っていると考えています。

 

  1. 家のシルエットや立体感で表現する「プロポーション」
  2. 同系色統一や差し色で温感で表現する「色使い」
  3. 窓の形状や配置で表現する「柄使い」
  4. 外壁の高級感や重厚感を強調する「質感」
     

例えば、
窓と玄関ドアが一つずつ設置してあるキューブモダンの四角い白い家があったとします。

庭にはシンボルツリーが1本あり四角いながらも立体感ある「プロポーション」をされているとします。


外壁は手塗りの白い漆喰仕立てで「色使い」にも表情をもたせ、
木製の重厚感ある玄関ドアで「質感」も工夫した家であれば十分おしゃれな要素が盛り込まれているといえます。


そこに、ブロンズサッシの引き違い窓を中央に設置してしまうとどうでしょう。


想像してみてください。


引き違い窓が1つあるだけで「柄使い」にモダンさが欠け、ダサい外観の家になってしまうことが考えられます。

 

引き違い窓を白いサッシのFIX窓に変えてみるとどうでしょう。

 

デザインと色合いにモダンさがプラスされ、調和の取れた家になると考えています。

 

 

このように家の外観のおしゃれさは、外構も含めた4つの要因が絶妙なバランスのもとに成り立っており、1つでもテイストを崩してしまうとおしゃれな外観から遠ざかってしまいます。


おしゃれ上級者であればあえてテイストを崩すなどの手法もありますが、基本的には原則に従う方が良いでしょう。

 

 

“おしゃれさ”というのは人によって感性が異なり、未だに議論されている部分ではありますが、これらの要因を考慮し自分が良いと思う組み合わせを試してみてください。

 

 

余談が長くなりましたが、三協立山株式会社様のホームページでカラーシュミレーションが可能です。
カラーでお悩みの方は試してみてはいかがでしょうか。
 

三協アルミ 窓の色彩計画
 

5. 失敗談を考慮して決める

失敗談や後悔した経験には、普段では気が付かない視点が隠れています。
十分な検討を経ずに窓を決めてしまうと、後悔することになるかもしれません。

 

失敗談としてよくあるパターンを解説しますので、窓を決める際に参考にしてください。
 

5-1. 引き違い窓の多用による一般的な外観

引き違い窓は利便性とコストパフォーマンスに優れていますが、過度に使用すると家の外観が一般的で特徴のないものになりがちです。

 

注文住宅では決定事項が多く、見落とされがちですが、デザインにもこだわることが重要です。

 

5-2. 西日による室温の上昇

夏場、西向きの窓からの西日は、特に寝室やキッチンを過度に暑くする一因となり得ます。

 

一方で、西日を過度に避けると部屋が暗くなりがちです。適切なバランスを見つけること、ブラインドやカーテンの設置による緩和が鍵となります。

 

5-3. 高窓によるテレビの視認性低下

リビングの高い位置に設置した窓は、デザイン面では魅力的ですが、朝夕の日差しによってテレビ画面が見えなくなることがあります。

 

夏と冬で日差しの角度が異なるため、年間を通じてこの影響を考慮する必要があります。

 

5-4. 南向き天窓の過剰な日差し

LDKに天窓を設けることで期待される豊富な自然光ですが、夏場は強烈な日差しにより室内温度が上昇し、エアコンの効率が落ちることがあります。

 

南向きの天窓は避け、適切な場所選びが推奨されます。

 

5-5. 窓の多用による家具配置の制限

窓の数が多いと壁面が限られ、結果として家具の配置や収納スペースの確保が困難になることがあります。

 

特に収納家具やキッチン機器の配置には注意が必要です。

 

5-6. 外からの視線に悩む大窓

空き地が広がっているからといって、安易に大窓を設置することはやめましょう。


この空き地に新たな建物が建つなど、将来の環境変化によって期待した眺望が失われるだけでなく、プライバシーが損なわれるリスクがあります。


窓の位置やサイズの選択には、将来の変化も踏まえた慎重な検討が求められます。
 

6. まとめ

注文住宅の窓の決め方と配置は、快適な住空間を実現する上で欠かせない要素です。

 

機能性、デザイン、窓配置と家全体の印象を総合的に考慮して窓を決めることがコツになります。

せっかくの注文住宅ですので、窓選びもこだわりを持って素敵な窓を決めましょう。

 


以上、「注文住宅の窓の決め方!窓選びの進め方と窓配置のコツをご紹介」でした。

この記事が少しでも窓選びのお手伝いになれば幸いです。

この記事を書いた人

ホームマップ編集部

一級建築士や宅地建物取引士、インテリア・福祉住環境コーディネーター、住宅営業、およびファイナンシャルプランナーが在籍しております。私たちは、住宅や生活空間に関する深い知識と実務経験を生かし、読者の皆様にとって有益で実践的な情報を提供することを目指しています。家づくりに必要な知識から、インテリアの最新トレンド、資金計画まで、各分野の専門家が連携を取りながら、質の高い内容をお届けします。私たちの記事が、より良い家づくりを実現するお手伝いとなれば幸いです。

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